腰痛で悩む方へ 2005.6 かみがた市民情報紙に連載済み
1 腰痛の分類 (骨盤がゆるむタイプと締まるタイプ)
腰痛についてよく書かれている常識があります。人間が2本足で立ちあがったときからの
宿命だというのです。20世紀に流行った進化論によるとそうなりますが、いずれ前世紀の時代遅れの思想と言われるようになるでしょう。人間は猿から進化したのではなく神仏が創った尊い存在だと信じます。全知全能の神仏が、腰痛が当然というような不完全な人間を創造するわけがないのです。
本来、人間は理にかなった生活をしていれば簡単に腰痛にはならないと私は考えています。現代人の多くは複雑な人間関係や仕事の忙しさなどからくる過度のストレスをコントロールできずに、その結果として心の平安や調和を得にくくなっています。そして疲労や運動不足など、心と体のアンバランスを起こし腰痛になるケースが多いのではないでしょうか。
このように心の歪みが先行して体の歪みを引き起こしていく様に見えます。もちろん腰痛以外の症状になることも多いでしょうが、腰は体の中心に当たり屋台骨を支えているところです。特に行動力とリンクしている場所であり、不調だと誰の目にもわかりやすく日常生活において大きな影響力をもっている部位といえます。
少し前置きが長くなりましたが、初回は私流に腰痛の分類を解説します。
一口に腰痛といっても多種多様なものがあります。一般に腰痛の原因とされているのは姿勢の悪さ、激しい運動や労働、老化による変形、内蔵の病気や運動不足、精神的ストレスなどがあげられています。私もその通りだと思います。ただ、これだと話の内容が漠然としたものになりがちで、みなさまの症状と照らし合わせて考えにくいだろうと思います。
そこで、原因ではなく結果、腰痛として発症している状態を大まかに5種類に分類し、その結果発生している状態をさらに原因も挿入しながら説明していきます。また、私の専門外のものもあるので、針灸整骨院の日常の臨床にてらして分類します。この中でも特に今回お伝えしたいのは、家庭医学書などに出ていない部分で重要な@「ゆるみ腰」A「締まり腰」が大変参考になると思います。
@ 骨盤(仙腸関節)がゆるむタイプの腰痛「ゆるみ腰」
出産後からの腰痛、運動不足でおこる腰痛、ひざを打撲して起こる腰痛、体をねじった時に起こる腰痛など。
A 骨盤(仙腸関節)が締まるタイプの腰痛「締まり腰」
尻もちやかがんだときに起こす腰痛、運動しすぎで起こす腰痛など。
B 椎間関節性の腰痛(背骨の痛み)
C 筋肉や筋膜を痛めて起こる腰痛
D 内臓の異常によって起こる腰痛
当院の患者様を観ていると、@+A骨盤の歪みからくる腰痛が全体の約7割あります。
痛み方は十人十色ですが、それぞれにハッキリした特徴があります。そこで次回から、この5種類の腰痛をさらに掘り下げて解説し、対処法もお話します。
健康科学アドバイザー 岡田宰治
腰痛で悩む方へ(5つの腰痛タイプ)
その2 骨盤がゆるむタイプの腰痛「ゆるみ腰」
2005.7 かみがた市民情報紙に:掲載済
「ゆるみ腰」という名称には、なじみのない方が多いと思います。
それもそのはず、私が命名したタイプだから当たり前のことです。
ではこの「ゆるみ腰」って一体どんな状態なのでしょうか。ある先生はこの状態のことを「なまり腰」と呼んでいます。つまり腰がなまって起こる腰痛だというのです。確かに「ゆるみ腰」の人に共通しているのは、歩行不足(運動不足)があることです。では、なぜ歩行不足になると「ゆるみ腰」になるのでしょうか。
それを理解するためには、まず骨盤の中にある仙腸関節のしくみを知る必要があります。写真は前上方から見た骨盤です。骨盤はお尻の後ろにある仙骨と、左右一対の寛骨という大きな骨で構成されている環状の骨格です。この中には泌尿器、生殖器、直腸などが入っており大部分を繊細な膜で覆われている重要な部分です。また体の中心にある腰の下半分を占めており、ちょうど家に置き換えて考えると基礎にあたる部分だと考えています。
この骨盤(仙骨)の上に腰椎という背骨が乗っているのですから、骨盤の安定は屋台骨の安定につながり、人間の骨格をバランスさせるためには最重要なベース部分なのです。
何らかの理由で骨盤が歪んだり、ねじれたり、傾いたりすると、その上に乗っている背骨全体が影響を受けて体全体のバランスが崩れ、様々な症状が全身に現れてきます。
この骨盤全体に大きな影響力をもっているのが仙腸関節です。仙腸関節の形と大きさは人間の耳に良く似ている大きな関節です。そして仙腸関節は歩いている時カチャカチャとリズミカルに骨盤を動かしながら、骨盤を調整し体を安定させている重要な関節です。
ここで話を「ゆるみ腰」にもどしましょう。「ゆるみ腰」というのは仙腸関節の片方、ひどくなると左右両側の仙腸関節が、ちょうど骨同士をつないでいるネジが大きくゆるむが如く、ぐらぐらと不安定になります。つまり、しっかりと歯車がかみ合わない状態になるのです。この関節が緩むと正常な関節の動きが出来なくなり、いろんな症状が起こってきます。これが「ゆるみ腰」ですが、実際どんな症状が現れるのでしょうか。
朝起きあがるときに腰の下の方が重い、ダルイ、動きにくいが、なぜかしばらく動いているとスムーズになってくる。初期にはこんな症状が出ます。20代の若い人にはピンとこないと思いますが、40歳以上で運動不足の読者の方には「私のことかしら」と、ドキッとする方も多いことでしょう。私が日常、治療現場の中で一番多くみかける腰痛のタイプが「ゆるみ腰」なのです。ふつうは左右のどちらか、普段立った姿勢で体重が乗っていない方の仙腸関節がゆるみ、この症状になります。ほとんど外出しない方や病後の方は、両方とも「ゆるみ腰」になっていることもあります。ただ、初期の段階では、動けば楽になってくるので治療を必要としませんが、この状態が続けば、間違いなく腰痛症になっていきます。具体的な対策は次回お話しします。
腰痛で悩む方へ(5つの腰痛タイプ)
その3 「ゆるみ腰」後編 2005.8 上方市民情報誌に掲載済み
「ゆるみ腰」の症状が慢性化すると、前かがみの姿勢がとりづらくなります。つまり立った姿勢から前屈しようとすると身体が硬く、写真のように床に手が着かなくなるといった症状が出ます。
また、骨盤が緩むと、腰が不安定になるのでやわらかいベッドを嫌い硬いベッドを好む傾向があります。
つぎに左の「ゆるみ腰」と右の「ゆるみ腰」の違いを説明します。左の「ゆるみ腰」左仙腸関節が緩んだ場合は、おしっこの出が悪くなる、足がむくむ、生理痛がキツイ、腰全体が重だるいなどの症状が出ます。これがさらに進行すると泌尿器、生殖器、消化器などの病気まで進みます。いっぽう右の「ゆるみ腰」では腰の症状は左と同様ですがそれ以外の症状は違います。胸や背中の凝りや息苦しさ、血圧の上昇などの症状が出ます。これがさらに進むと、呼吸循環器の病気にまで及びます。不思議に思われるかも知れませんが、これは事実です。
このように現代医学ではまだ手つかずの「骨盤の異常」を診ることで身体全体の状態把握と将来かかる病気の予測までできてしまうのです。そういう意味では先端医療だと思います。これを利用すれば未病といって病気になる前に意図的にそれを回避することが可能になります。
ここで、「ゆるみ腰」を悪化させる要素についてお話ししましょう。自転車は症状を悪化させます。自転車のサドルは骨盤に下からくさびを打ち込む形となり、下からの振動とつきあげの影響をうけるからです。このように自転車は緩んだ骨盤をさらに開かせて悪化させる危険があります。その他では「あぐら座り」なども骨盤を開かせる姿勢なので悪化因子のひとつです。もう一つは歩かないことです。これらの理由で緩み腰の程度が悪化すると、ぎっくり腰となって前かがみが出来ない、左右に身体を捻れない、前後から見て身体が左右の一方に傾く、立ち座りが出来ないなどのキツイ症状が現れます。こうなったら自分の力だけではどうすることも出来なくなります。
最後に「ゆるみ腰」の対策法を述べます。1(歩行の効用)「ゆるみ腰」の人の歩き方は片方または両側のだらだら歩きが多く、端から見るとシャキッと歩けないのが特色です。その前提に歩行不足があるのでウォーキングの習慣をつけることが大事です。即効性は期待できませんが中長期的には最善の策となりますので、「コツコツが勝つこつ」と自分に言い聞かせてとにかく歩き始め、続けることです。ただし、脚力がない人は無理せず徐々に増やしていくのが肝要です。対策2(不良姿勢の改善)あぐら座りや、足の投げ出し座り、一方向の足組み座り、体育座りなどの骨盤や腰にとってキツイ姿勢を日常生活から排除し、悪化への道をシャットアウトすることも重要です。
対策3(仙腸関節の整復)そして自分で治せないレベルまで進んだものは、迷わず治療することが大事です。治療法は程度が軽いものでは、針、指圧やマッサージでもそれなりに効果がありますが、有る程度以上キツイものになると骨盤の整復が必要になります。ただし危険なボキボキ矯正などは一切不要です。こんなときは確かな診断と安全な整復が出来る治療院を探して下さい。

腰痛で悩む方へ
その4 「しまり腰」
今回は「ゆるみ腰」と対極にある「締まり腰」について説明します。
骨盤(仙腸関節)が締まるタイプの症状が「しまり腰」です。前にも書きましたが左右の仙腸関節は歩くときにカチャカチャと一定のリズムで動くのですが、「しまり腰」になると、骨盤が締まる方向に偏り、この動作がスムーズに出来なくなります。
しかし、よく歩く人は「しまり腰」になっても歩行中に治ってしまうことがあります。「しまり腰」が治らずに時間を経過すると、ネジを締めすぎて咬み込んだボルトとナットのように動かなくなり慢性の腰痛「かみ込み腰」に移行します。
それでは「しまり腰」の原因を説明しましょう。代表的な「しまり腰」は写真1のぎっくり腰、かがんだ姿勢から重量物を持ち上げる時に起こす急性の腰痛があります。

このタイプのぎっくり腰は一般に筋肉を痛めて起こすと思われていますが、実際は関節の急性炎症をともなう「しまり腰」なのです。急性期ではかがんだ姿勢から起きあがるときの激痛があります。
もう一つの「しまり腰」は尻もち外傷です。これは写真2のようにドスンと尻もちをつくケガです。
ふつう尻もちは、ぶつけた臀部の打撲に意識がいきます。しかし、問題は尻もちの衝撃によって、どちらかの仙腸関節が「しまり腰」を通りこして一気に「かみ込み腰」になってしまうことなのです。

この場合は関節の炎症を伴わないことが多いので症状が出るまでにかなりの時間を要します。
私が見てきた症例では尻もちの2週間後くらいから、長い場合は数ヶ月後に「かみ込み腰」の症状が出てきます。
このように尻もち外傷ではケガと腰痛発生に時間差があり、本人が尻もちと腰痛の因果関係をつかみにくいのが特徴です。
このため治療サイドも診断を間違いやすく、椎間板ヘルニアと間違われることがあります。
尻もちが原因だと解らないためにピントはずれの治療をされることが多いのです。
その他「しまり腰」の症状としては仰向けで寝るのがつらく、硬いベッドを嫌う傾向があります。また歩き方は少し前傾した姿勢になり体の上下動が大きいのが特徴です。さらに「かみ込み腰」になると片方の脚のシビレがでます。
それでは最後に「しまり腰」の対処法についてお話しします。急性期の「しまり腰」は痛み止めなどで炎症がひくのを待つ手もありますが、炎症がひいて痛みが無くなった頃に「かみ込み腰」に移行することが多く、ぎっくり腰を起点にして慢性の腰痛症になることが少なくありません。そして「しまり腰」が慢性化した「かみ込み腰」になると骨盤を治せる専門の治療院に行くしか治す方法がありません。
多くの医療機関ではこのタイプの腰痛症の患者さんが治りきらずに長期間通い続けているのではないかと推測しています。今回説明しました「しまり腰」特に「かみ込み腰」になっていてもキッチリ治療すれば治りますのであきらめないでください。
その5
股関節や膝からの腰痛 2005.10 かみがた市民情報紙に掲載済み
今回は股関節や膝のトラブルと腰痛の関係をお話しします。
股関節は脚の付け根の関節で、おしりのふくらみの中にある関節です。
股関節や膝は日常生活で「起きあがり」「立ち座り」「階段昇降」。スポーツでは「走る」「飛び跳ねる」等でよく使う部位です。股関節は老人が転倒するなどして骨折することはありますが、丈夫に出来ているので傷害されても痛むことは少なく、たいてい両隣の膝か骨盤の関節に痛みが出ます。
また、痛まないために本人の自覚はほとんどなく、違和感があるといった程度で意識しにくいのです。
なかなか膝や腰の痛みが取れない場合、股関節の障害が取れずに残っている場合があります。
軽度の股関節の障害は関節が「ずれるだけ」ですが、このずれが腰痛を引き起こしたり治りを邪魔したりしているので要注意です。
つぎに、股関節や膝を介して腰痛になる、よくあるパターンを説明しましょう。
1.(股を開いた状態で行うストレッチ)開脚で行うストレッチで左右の開きにくい側を無理やり伸ばそうと頑張りすぎると股関節と骨盤が開いて腰痛を起こします。
2.(ステップやエアロビクスなど脚に強い負担のかかる運動)エアロビクスなどの激しい動きでは股関節、膝に負担が大きく、バランスを崩した程度で股関節や膝を捻ってしまい続いて腰痛になることがあります。
3.(横に転んで股関節、前に転んで膝をぶつけた場合)お年寄りなどに多いのが自転車や歩行中、あるいは家の中で転倒するケース。股関節や膝の打撲を介して骨盤や背骨を痛めて腰痛を起こします。
4.(段差の高い階段の上り下り)急な傾斜の階段など段差が高い場合は股関節や膝への負担が大きく、合わせて腰痛になることがあります。
5.(股関節の形成不全がある場合)乳児期のハイハイ運動が不十分だと股関節の発達が悪く、それ以後も股関節を痛めやすくなることがあります。同様に膝も成長期に正座やしゃがむ動作が少ないと膝の動きが硬くなります。そして腰痛につなることがあります。
6.(横座りの習慣)その他では、女性に多い一方に偏った横座りの習慣があります。習慣とはこわいもので、ちょっとしたことでも毎日の積み重ねで股関節や膝が歪み、腰痛を引き起こすことがあります。
このように股関節や膝、その先の足首までもが腰痛の原因になっていることがあります。
この腰痛とは前回まででお話しした「ゆるみ腰」や「しまり腰」が大半を占めています。
人間の体は骨格を通じて全身連結されているので、要所の関節またはその周辺に障害が発生すると、その他の部位にも少なからず影響を与えてしまうのです。腰には覚えが無くても腰痛になるのはこのためです。
あなたの腰痛、その原因に覚えがない場合は全身のバランスを診ることの出来る治療家のところに行って下さい。レントゲン写真に異常がなくても全身を見たら異常がわかることは数多くありますので、慢性の腰痛だからしようがないと簡単にあきらめないで下さい。
健康科学アドバイザー 岡田宰治
その6 椎間関節が原因の腰痛2005.11 かみがた市民情報紙に掲載済み
一般的な腰痛の本によれば、腰痛の大半は「筋・筋膜性腰痛症」といって、簡単にいうと腰の筋肉痛だといわれています。また、腰痛症とは病名ではなく症状の名前です。現代医学では、原因がよくわからない腰痛、あるいは検査しても正常なのに痛む場合に腰痛症といわれているようです。
私の25年の経験から言えることは、現代医学の見解とはやや違います。筋肉や筋膜の炎症が原因の腰痛はとても少ないということです。確かに筋肉が張っている場合が大半なのは認めますが、それは結果であって原因ではなく、たんなる一症状にすぎません。
その実態は、骨盤の関節おもに仙腸関節の異常が大半です。骨盤の異常「ゆるみ腰」や「しまり腰」が発生した結果、骨盤および背骨に歪みが生じます。これに対し、身体が自動的になんとかバランスをとろうとして腰部や背部の筋肉が張るのです。当院では、腰痛を訴える方の約7割は骨盤の異常が原因です。
それに続いて多いのが背骨が原因の腰痛です。今回は、この背骨(椎間関節)が原因の腰痛を説明しましょう。有名な椎間板ヘルニアをはじめ腰椎分離すべり症、老化現象による脊柱管狭窄症や変形性の脊椎症など数多くありますが、これらは整形外科の先生の方が詳しいので、ここでは省略します。
日常よく見かけるのが、椎間関節の潤滑不全です。これは上下の背骨、椎骨のかみ合わせが悪くなっている状態をいいます。ちょうど歯が浮いたときに歯と歯ぐきに痛みが出るように、上下の歯車がかみ合っていないような感覚の症状です。
たとえば体を右に捻ったときだけ背中が痛むとか、身体を後ろにそらせたときだけ腰が痛むなどの症状が出ます。
もっと軽い場合には、腰が張る、背中に鈍痛があるなど、一見筋肉の異常のようにも見えます。
しかし、筋肉や筋膜の問題ではない証拠は、筋肉の炎症症状が見られないことと、背骨の関節である椎間関節を整復をすると、その場で痛みが消えることから証明できます。
近年、背骨専用の整復器(写真)も開発され、一部の医療機関では使われています。
椎間関節症という背骨をつなぐ関節のトラブルは、多くの場合は治ります。また、分離症やすべり症があっても改善はみられます。
治るまでは行かなくても、ふだん気にならないところまでは改善する場合も多いのです。いまでは、椎間関節由来の腰痛や背中の単純な痛みは速くて一回、ふつうは数回の治療で治ってしまうまでに技術が進歩しています。
そして、それにともなう諸症状も改善するので、「もうこれは慢性だから、しかたがない」とあきらめている方でも、変形が軽度の場合などは、まだ可能性があります。
このように日常来院が多い腰痛症は、骨盤のトラブルが過半数、続いて今回説明したところの椎間関節のトラブルです。当然ながら程度が重いものは骨盤も椎間関節も治らない場合はあります。ただ、現状は間違った治療や不用意な対処のために良くならないことが多いのではないでしょうか。こんな症状をお持ちの読者は、今の治療法で間違っていないかどうかを検討してみて下さい。
健康科学アドバイザー 岡田宰治
その7 その他の腰痛2005.12 かみがた市民情報紙に掲載済
今回は、当院では少数派の腰痛を、その他の腰痛と題して解説することにします。
今まで説明してきたもの以外で骨盤関連のものが、じつはまだ残っています。
ひとつは、恥骨結合といって骨盤の下前方にある関節の障害です。ここは、外傷によって痛めることが多く、尻もちや膝の強打など、骨盤への大きな衝撃で痛めます。
症状がキツイ場合は恥骨が裂けそうな痛みをともないますが、ふつうは痛みはなく、歩くときに足の運びが悪くなる、足が前に出にくい、真っ直ぐに歩けないといった症状となります。はじめ腰痛は出ないことが多いのですが、これが長期間続くと腰痛が出現します。この恥骨の障害は軽度の場合は自然に治ることもありますが、慢性的に恥骨結合の動きが悪くなったものは治療が必要です。ただ残念なことに、恥骨を治療できるところは少ないのが実情です。さいわい当院ではすべて治癒しています。
つぎに、尾骨の障害です。尾骨というのはおしりの先のとがった小さな骨ですが、ここは意外と重要な場所なのです。なぜかというと仙骨とともに1分間に数回程度、こっくりこっくりとうなづき運動をしており、井戸のポンプのように脳脊髄液を上に押し上げているのです。尾骨はその先端の微妙な調整をしているところで脳にまで影響が及ぶので重要なのです。打撲などで尾骨を傷害すると女性では出産の障害となるほか、子宮内膜症や不妊症などの婦人科疾患にまで及ぶと言われています。仙骨までも障害すると脳脊髄の機能も低下します。その他の尾骨の症状は、臀部の違和感や両足の灼熱感などがあります。また、尾骨の障害は治療しないと治りません。治療は尾骨の整復が必要ですが、直腸に指を入れて行う従来の方法は治療する場所の問題もあり、最近ではテープによる外からの整復法がとられるようになってきました。
その他の腰痛では、内臓の機能不全があります。
原因は長期間にわたる不良姿勢や過労、足腰の冷えなどによって起こります。具体的な症状は骨盤の後ろに痛みが出るのは、子宮など生殖器、または膀胱など泌尿器の機能障害。その上の腰椎の後ろは、腸や腹腔の障害。もう少し腰の背中よりになると腎臓、その上にいくと左が胃、右が肝臓や胆嚢というように臓器の機能が低下したときに、関連痛としての腰背部痛が出ることがあります。これらの対処法は、軽い場合は入浴や歩行でも改善することがありますが、少し進行したものには、鍼灸や高気圧療法などが良いと思います。もちろん急性の内科疾患が疑われるときは、まず内科に受診することが最善策なのは言うまでもありません。
最後に心因性の腰痛について説明します。これは精神ストレスが原因で起こる腰痛です。様々な理由で腰部の血流が悪くなり、うっ血しているところに、つきものがついた場合に悪化します。
この場合の対処法は、軽い運動やマッサージなどで筋肉をほぐし血行を改善させれば楽になります。もし、それで治らない場合はカウンセラーや専門家のもとで、原因となっている精神ストレスや心の傾向性と向き合うことが必要だと思います。
健康科学アドバイザー 岡田宰治
その8 腰痛のまとめ2006.1 かみがた市民情報紙に掲載済
腰痛シリーズもいよいよ最終回を迎えました。
今回は、これまで説明してきた腰痛の分類と対策法のまとめをお届けします。
@ 骨盤(仙腸関節)がゆるむタイプの腰痛「ゆるみ腰」
骨盤がゆるむと正常な骨盤の動きができなくなり、いろんな症状が起こってきます。初期には腰痛のみが出ますが慢性化すると症状が広がっていきます。左の「ゆるみ腰」の症状は、おしっこの出が悪くなる、足がむくむ、生理痛がキツイ、腰全体が重だるいなどの症状が出ます。この状態が固定化しさらに進行すると泌尿器、生殖器、消化器などの病気にまで進みます。右の「ゆるみ腰」では胸や背中のこりや痛み、息苦しさ、血圧の上昇などの症状が出ます。これが固定化しさらに進むと、呼吸循環器系の病気に進みます。「ゆるみ腰」になる原因は出産、運動不足、体をねじった動作や不自然な姿勢です。対策法1.ウォーキングの習慣を身につけること。即効性は期待できませんが中長期的には最善の策です。対策法2.あぐら座りや、足の投げ出し座り、一方向の足組み座り、体育座りなど骨盤がゆるむ姿勢を日常生活から無くすこと。対策法3.治療すること。程度が軽いものは、針、指圧でも効果がありますが、キツイものになると骨盤の整復が必要です。
A 骨盤(仙腸関節)が締まるタイプの腰痛「しまり腰」
「しまり腰」の症状は腰を伸ばすと激痛が走る、脚がシビレる、身体の動きが硬くなる、硬いベッドで仰向けで寝るのが苦しいなどです。歩き方は上下動が大きく自然と前傾した姿勢になります。これが固定化すると「かみ込み腰」になり慢性の腰痛症になります。対策法は急性期の「しまり腰」は氷冷や痛み止めなどで炎症がひくのを待つ、「かみ込み腰」は骨盤を治せる専門家に治してもらうしか方法がありません。
B 股関節やひざからの腰痛
症状は股関節やひざの痛みから始まり、つづいて腰痛を発症します。原因は一方への横座りの習慣、股を開くストレッチ、エアロビクスなど脚に負担のかかる運動、段差の高い階段の上り下り、股関節やひざの打撲やねんざなど。股関節やひざに狂いが生じても、すぐに治らず固定化すると腰痛になります。対策法は股関節やひざを早く治すことです。
C 背骨(椎間関節)が原因の腰痛
症状は背中の張りやこり、背骨をねじるなど動かすと痛む。筋肉の異常のようにも見えますが椎間関節の潤滑不全といって、上下の歯車がかみ合わないように背骨のかみ合わせが悪くなります。対策法は柔軟性を高める運動や指圧などで治ります。
D その他の腰痛
恥骨結合、尾骨の障害、内臓の障害、骨や脊髄の病気などがあります。
ざっとふり返ってみましたが。あなたの腰痛は、どこにあてはまりましたか。たかが腰痛といってほっておくと、「気づいたときには関連する病気になっていた」ということにもなりかねません。「腰痛症だから仕方がない」とあきらめる前に、もういちど大切な腰をチェックしてみてはいかがでしょうか。